卒業生からのメッセージ

'15 行動科学科(現:行動科学コース) Oさん

'15 行動科学科(現:行動科学コース) Oさん,銀行に就職

就職活動体験記

私の就職活動は三年次八月のインターンシップから始まり、四年次八月に第一志望の都市銀行から内定をいただいて終了しました。およそ一年の活動期間でした。

就職活動を始める前まで、私は不安でした。内向的な性格でしたし、文学部哲学専攻という学歴は新卒採用の世界で有利に働くものではないと考えていました。一方で、私はそれらのために卑屈になることはありませんでした。内向的な性格は就職活動には向かないかもしれませんが、物事を深く考えようという姿勢の表れでもあり、そうした姿勢があったからこそ哲学の門を叩き、難解な哲学的問題に四六時中頭を悩ます学生生活を送ってきたのだと考えました。このように、私の就職活動は「自分を認めること」から始まりました。

「自己分析」とは就職活動の場で散々耳にする言葉ですが、ともするとこうした思考活動は「理想の自分像」や「理想の新卒像」を自分自身に押し付けてしまいがちです。就職活動とは「第一志望から内定をもらうこと」という「目的」・「目標」があり、それを達成するために「自己分析」という「手段」を講じるのだと考えてしまうからです。しかし、「自己分析」とは、自分の今いる位置、能力、行使しうる手段を認識する思考活動だと私は思います。ですから、そこに自分自身が追い求める「虚像」が入り込んだり、「目的」・「目標」達成のためのバイアスがかかったりしてはいけません。ありのままの自分をありのままで認めることができなければなりません。何かを成し遂げようとするときは、自分に何が備わっているかを正しく認識することが重要です。

「自分を認めること」ができれば、自分の現在の状況がわかります。次に大切なことは「目的を手段に適合させる」ということです。この逆説的な主張は「分相応な結果を得ればよい」ということを意味しているのではありません。「できることを意志する」ことを言っています。私の場合は、内向的な性格は現象を解明しようとする分析的な性向として、哲学専攻という学歴は論理的思考力を鍛えてきた証明として、不安の種をむしろ強みにしました。そして、そうした性向に適した業界として金融業を見つけ、インターンシップやセミナーを通して確信に至り、第一志望の企業を設定することができました。自分を正しく認識することは、その持てる能力を最大限に発揮できるような方向を定めることにつながります。無論、「将来何をしたいのか」というような就職活動を始めた動機や、雇用条件に対する要望などがそれに結びつけば、より強力な就職活動の軸が固まるかと思います。

最終面接では「人はすべて合理的であるか」という問題について面接官と意見を交わしました。結果的にそこで「論理的思考力」が評価され、内定をいただくことができました。最初は就職活動の障害になると思われていた不安要素が、最終的に内定をいただく決定的要素として認めてもらえるようになりました。

私と同じ様に、就職活動を始めようとするみなさんもまた十人十色の理由から不安を感じていると思います。しかし、その理由を突き詰めていくと、実はあなた自身の思わぬ武器につながっているかもしれません。その武器で、みなさんがみなさんの手でそれぞれの道を切り拓いていけるよう願っています。

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