卒業生からのメッセージ

‘17 国際言語文化学科(現:国際言語文化学コース) Iさん

‘17 国際言語文化学科(現:国際言語文化学コース) Iさん, テレビ局勤務

【大学時代に学んだことと、現在の仕事がどのように繋がっているか】というのが、大学から与えられたこの「卒業生からのメッセージ」のテーマ。私の職業はテレビ番組のディレクターですが、大学で育んだ“力”は、仕事をする上で大きな地盤になっています。要素は3つ、「面白さを見つける力」「物事を分かりやすく伝える力」、そして「コミュニケーション力」です。

まず一つ目は、「面白さを見つける力」。学生は授業でレポートを書かされますが、たとえ興味のない題材でも単位を取るためには何かしら書かなくてはいけません。でも、どうせ書くなら関心のあることを書こうと題材を調べます。すると大なり小なり自分なりに面白いことを発見します。すると今までつまらなく見えたものも、少しは面白く見えてくるのです。この作業を繰り返していくと、どんな物事にも何かしら面白い側面があるのだと気づきます。これは、テレビ番組制作で大いに「力」となります。一見、題材が魅力的でなくても、深く調べれば面白さが見つかり、時にそれが誰も見つけていない魅力だったりすると、“意外な面白さ”だとして、多くの人が注目してくれます。

二つ目の「物事を分かりやすく伝える力」は、見つけた面白いことを、いかに人と共有出来るかです。いくら面白いことを見つけても、それが自己満足で終われば良い単位は取れません。あなたのレポートが分かりづらければ、せっかくのおもしろアイデアに、先生は驚きも納得もしないのです。番組で言えば、視聴者に響いてなければこけてますね。響くためには、まず理解してもらうことが大事。そこで大事なのが、ロジカルシンキング。論理的に物事を考え、説明することです。これも、レポートを書くことで学べます。先生がフィードバックをくれれば上達します。ちなみに、文学部の先生はとても親切に教えてくれます。

さて三つ目の「コミュニケーション力」ですが、番組制作では非常に重要な力です。番組作りには、カメラマンや音声マン、編集マンなど多くの人が携わるのですが、その一人一人が番組の魅力を理解していないといけません。そのためには「何が面白いのか」をはっきりさせ、その魅力を「分かりやすく伝える」ことが大事です。前述したスキルですね。これも実は授業で学べることなんです。

例えばレポートや論文のグループディスカッションの場。自分のアイデアを教授と学生に説明しないといけません。プレゼンが面白くないと、教室のみんなは露骨につまらなそうな顔をします。辛いですね。しかし、回数を重ねて何がイケてないのかを分析したり、先生にフィードバックをもらうことで必ずプレゼンは上達します。また、議論の場では誰かのプレゼンに対して質問をしたり、意見を述べなくてはなりません。ここでも「何が面白いのか、またはダメなのか」を「分かりやすく伝えなければ」、教室のみんながまた冷たい空気を醸し、そのプレッシャーで変な汗だくだくです。しかし、練習の末にプレゼンが上手くいくと、下を向いていたみんなが自分に興味のまなざしを送ります。この瞬間はとても気持ちが良いものです。今までに楽器やスポーツ、勉強で注目されず、公に認められた経験がなければ尚更のこと。小中高で得られなかった充実感を大学では得られる可能性があります。さらにその力は社会で役に立つのです。

最後に千葉大学はこうした「力」を鍛錬するには良い環境であることをお伝えしたいです。実は私は3年次編入で千葉大に入りました。それまでは4年間(うち1年は休学)、東京の私立で法学部に所属していました(ちなみに偏差値は同程度)。私一人の意見では一概に比較は出来ませんが、千葉大の生徒は真面目で人の話を聞いてくれる学生が多いと思います。授業中寝たり、携帯をいじったりという人をほとんど見かけませんでした。それだけ、三つ目に述べた「コミュニケーション力」を伸ばしやすく、また仲間と共に「面白さを見つける力」も「物事を伝える力」も育みやすかったのです。文学部というと、社会で役に立たなそうですがそんなこともありませんよ。【終】

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