卒業生からのメッセージ

'18 行動科学科(現:行動科学コース) Sさん

'18 行動科学科(現:行動科学コース) Sさん, 千葉大学大学院に進学

卒業生からのメッセージ

千葉大学の受験を考えているみなさん、こんにちは。主に高校三年生や浪人生の方が、これを読むのではないかと思います。だから、千葉大学の受験を迷っているみなさんに向けて、大学院卒業まで千葉大学で6年間過ごしている私が感じていることをご紹介します。

まず、簡単に自己紹介をしておきます。私は、千葉大学の文学部行動科学科を2018年に卒業し、現在は千葉大学の大学院で、社会学者になるための勉強をしています。

とはいえ、元々社会学者になろうと思っていたわけでは無くて、高校生のときは、社会学には全く興味はありませんでした。当時は、なんだかよく分からないけれどカッコ良いからという理由で模試の志望校には「法学部」と書いていました。つまり、高校生の私は何も考えていなかったということです。

文学部行動科学科に進学したのは、どこの大学に行くか迷っていた時に、高校の恩師から、「君は行動科学科がいいんじゃないか、千葉大学で一番面白い(変な?)人が多いから」という紹介を受けて、「ああそうですか」と、ここに決めました。今になって考えると、全く主体性のない選択なので、こういう進路の決め方はお勧めしません。(ちなみに、その恩師も千葉大学出身の方でした。千葉大学を卒業すると、人に千葉大学をお勧めしたくなるのかもしれません)

そのようないい加減な理由で千葉大学に進学した私ですが、いくつか入学してみて感じたことがあります。

まず、千葉大学のよい点として、学生と教授の距離が近いことがあると思います。これは、受験生の時はあまり気にしていなかったのですが、人数が少ない国立大学ならではの点かと思います。

今年、コロナウイルスの影響で、大学の授業が全てリモートになってからよく思うことなのですが、大学の価値があるとしたら、おそらくそれは、人から教わる内容そのものにあるのではなくて、学びを共有する場であるということに価値があるのではないかと思うのです。

たとえば、今教授たちがやっているオンライン授業は、極端な話、Youtubeにアップロードできてしまいます。2020年の今は、まだYoutubeは専門的なコンテンツが充実しているとは言い難いですが、おそらく今後10年ほどで、かなり高度に専門家された内容も、WEBで学ぶことができるようになるのではないかと思っています(たとえば、マルクス経済学について学ぶために、以前は大学に入らないと難しかったけれど、家でもできるようになる、ということです)。もしかしたら、数十年後には、どこの大学の講義も、オンラインで受けられるようになっているかもしれません。受験生のみなさんにとっては馴染みが深いかもしれませんが、実際に予備校の講義などは、すでにオンライン化され尽くしています。おそらく、大学で学ぶような専門知識も、徐々にであれ、オンライン化が進んでいくことでしょう。

しかし、それによって大学の価値がなくなってしまうかと言われると、決してそうではありません。大学には、教えてもらうという価値ではなく、同じ学問に関心がある人たち同士で、議論しあったり、学びを深め合ったりする場としての価値があります。この、知的な出会いの場としての価値は、世の中のオンライン化が進んでいったとしても、しばらくは保たれるのではないか思っています。

そのことを考えたときに、教授との距離が近いことは、大学が持つ価値としては決定的に重要になってくるのではないかと思います。知のトップランナーである教授たちと対話し、学友たちと議論を深めるような時間は、少なくとも千葉大学であればしっかり確保できます。そのような意味で、千葉大学に入ることは、みなさんが大学で得る学びを、ここでしか得られないものにしてくれるのではないかと思います。

その一方で、あえて千葉大学の悪い面についても触れておきたいと思います。

千葉大生は、真面目な優等生タイプの人が多いためか、「THE・慎重」な人が多いように思います。ですから、何か大学発の新しいビジネスを始めたり、大学生のうちに世界一周をしたいと考えている人にとっては、少し物足りないかもしれません。(もちろん、中にはそういうガツガツした人もいますが、相対的に見ると、他大学よりも少ないように思われます。)

また、学内での多様性が高いかと言われると微妙なように思います。事実として外国人留学生が占める割合はある程度高いのかもしれませんが、自分から積極的に関わっていこうとしない限り、交流の場はあまりないという印象です。日本語だけを喋っていても、おそらく卒業することができます。

このように書くと、「地味な地方大学なんだな」というふうに思われるかもしれませんが、千葉大学が位置している西千葉自体は、(自分から関わっていく限り)とてもおもしろい町で、私は好きな街です。

ちょっとおしゃれなバーは多いですし、飲み屋で句会(俳句を読む会)が始まったりして、地域の人と交流する機会は確保しやすいように思います。また、千葉大学が近くにあるからか、どこのお店も、少しだけ学問・文化の匂いが漂っており、ほどよいリベラルさが保たれているように思います。

きっとこれは、西千葉がほどよく田舎だからで、もしキャンパスが渋谷にあったら、資本の論理に飲み込まれてしまって、これほど魅力的な街ではなかったのではないかと思います。西千葉にあるということは、千葉大学を評価する上で重要なポイントなので、みなさん千葉大学に見学に来た際には、ぜひ西千葉の色々なお店に立ち寄ってみてください。ぜんぜん知らないバーや小洒落た本屋さんに入るのも一興かと思います。

また、千葉大学には、大人しいけれど、面白さを心のうちに秘めたユニークな学生がたくさんいます。文学部の人で言うと、たとえば、趣味の競馬のデータをAIに入れて予想させている友人もいれば、お笑い芸人になった先輩もいます。卒業後、俳優になった人や、自分の小説を出版した人もいます。このように、多種多様な人が、互いを尊重し合いながら学びを深められるのが千葉大学です。

今年の千葉大学の修了式で答辞を述べていた鈴木南音さんが仰っていたように、「そもそも何が役に立つのかについてさえ分かり合えないような、異なる価値観を持つ他者とともに、本当に私たちにとって役に立つこととはどういうことなのかを対話し続けること」ができる大学であると言えるでしょう。

千葉大学には、自分に学ぶ意志があれば、刺激的な学友とともに、いくらでも成長できる環境が整っています。みなさんの入学を心待ちにしております。

千葉大学行動科学科2018年度卒業生 Sさん

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