卒業生からのメッセージ

’18 行動科学科(現:行動科学コース) Gさん

’18 行動科学科(現:行動科学コース) Gさん, 広告会社に就職

卒業生からのメッセージ

私が文学部行動科学科に入学したのは、高校2年生のときに「錯視」に関する研究の講演を聞いたのがきっかけでした。その講演では、ヒトが当たり前に見えていると思っていても、“見えているつもり”で実は見えてない事象があるということや、ヒトの視覚機構(錐体の数など)は人それぞれであるにも関わらず、同じようにモノが知覚できているということが取り上げられていました。初めて知ることばかりだった私は、人間の視覚に興味を持ち、もっと知りたいと感じました。そして、視覚について科学的に実証できるような研究ができる大学を探して、千葉大の文学部行動科学科に至り、入学を決めました。特になりたい職業や勉強したい学問が決まっていなかったので、単純に好奇心だけに従って進路を決めましたが、大学では自分の知りたかったことに関する論文にたくさん出会えたり、自分の研究から新しいことが分かったりと、楽しんで研究に取り組むことができました。

前述のとおり視覚に興味があったので、私は心理学を専攻しました。2年次は様々な分野の心理学の基礎や、実験の基礎を学び、3年次からは研究室に所属して自身で決めたテーマについての論文を読んだり、実験をしたりしました。3年次以降の研究は自分の調べたいテーマについて、現在までに明らかになっていることはなにか、どんな実験をすれば知りたいことがわかるか、などを考えるところからスタートします。最初は論文の探し方もわからない状態でしたが、先生方や先輩方にアドバイスをいただき、研究内容を詰めていくことが出来ました。週に一度のゼミと心理学講座全体での発表を通して、研究室内外の学部生や院生、先生方から質問やアドバイスをいただけるのも良い機会でした。

専門的な知識はもちろんですが、特に勉強になったのは、専門的な内容を誰にでもわかるようにするためにはどうするかという点です。どういった順番で話すか、何を見せるか、誤解を生まないようにどこで補足を入れるか、など発表のたびに考えていたので、この点は社会人になっても生きているなと感じることがあります。

私はいま、インターネット広告代理店に就職し、広告の運用や入稿のほか、業務フローの改善や業務の自動化テストなどを担当しています。就職を決めた理由は、データを根拠に話せる仕事がしたかったのと、社風が自由だったからです。心理学講座での専門的な経験が業務に直結することは無いですが、顧客とやり取りをする営業に配信実績を説明したり、新入社員に業務を教えたりするときに、「専門的なことをわかりやすく話す」ということは意識しています。

またネット広告は配信実績を細かく見て分析するので、どのデータがあれば相手を納得させられるか考えたり、分析結果からそれに対する打ち手に筋が通っているかを判断したりすることにおいては、心理学講座での経験で得られた論理的な思考が生きていると思います。

高校生の時点で、なりたい職業や将来の目標が決まっていなくても不安になることはないと思います。私の場合は心理学を通して学んだ、人への伝え方や論理的な考え方といった基本的なことが今の仕事に役立っています。でもそれは将来のために勉強していたわけではなく、自分が面白いと思ったテーマに対して研究していた結果です。

経験から学ぶことは想像以上に多いので、現状知っている範囲のことだけで物事を判断せずに、素直な好奇心を大切にして、皆さんが夢中になれる学問に出会えることを願っております。

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