文学部とは

文学部長からの挨拶

ごあいさつ

文学部長 岡部嘉幸

 文学部での学びでは、先生から出された問題に正解を出すという勉強のスタイルをとるものはほとんどありません。もちろん基礎的な知識の習得を目的とする授業においてそのようなスタイルをとることはありますが、文学部での学びの中心的部分である演習(ゼミ)や卒業論文において求められるのは、他でもない自分自身で問題を設定し、自分なりの答えを導きだすという思考方法です。
その意味で、文学部での学びには自由があります。自分自身で問題を設定するのですから、自身の興味のあること、好きなことを自由に研究の対象にしてよいのです。しかし、好きなことを研究するというのは、誰かから出された問題の正解を探すよりずっと時間も手間もかかる困難な作業です。学生は、4年間じっくりと時間をかけて、基礎的な勉強を積み上げていくなかで、やりたい勉強、解き明かしたいテーマを見つけていきます。その一連の過程を学生と教員の顔の見える関係の中で積み上げていくところに千葉大学文学部の学びの特徴があります。

 もう一つ、文学部の学びの特徴を挙げるとすると、それは「多様性」です。まず、第一に、文学部で学べる分野は人間の心理、行動、文化、言語、社会、歴史などの幅広い分野にわたっているという点で多様です。さらにここで強調したいのは文学部の学びでは「ものの見方の多様性」が重視されるということです。たとえば「五百円玉は長方形だ」という言明を考えてみましょう。この言明は奇妙ではありますが事実です。それは、五百円玉を横から眺めればすぐにわかります。紛れもなく五百円玉は(極端に薄い)長方形なのです。普段、私たちは五百円玉を「円形だ」と認識していますが、見方を変えれば「長方形だ」という認識もまた正しいわけです。私たちはあるモノを一つの定まった視点から捉えがちですが、その常識的な見方を一旦脇において「五百円玉は長方形だ」のような異なった見方をしてみたらどうだろうと考える、つまり、自身のものの見方の一面性を自覚し、多様なものの見方を心がけることを文学部では重視しています。
現在、covid-19の流行によって、人との関わり方、世界との関わり方が大きく変わりつつあります。そんな時代にこそ「モノの見方の多様性」が必要だと考えます。ぜひ文学部での4年間の学びでそれを身につけてください。

文学部長 岡部嘉幸

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