文学部とは

文学部長からの挨拶

ごあいさつ

文学部長 米村千代

 文学部には、「文」という言葉が内包する実に幅広く、深い専門領域があります。人間自身や人間が作りだした文化、歴史、社会それらについてじっくりと考える時間と空間が文学部にはあります。

 文化や社会を学ぶということは、自分が知らない世界を学ぶということだけではなく、実は自分自身や自分たちの日常について学ぶということでもあります。何だ、よく見知っていることではないか、と思うかもしれません。そうでしょうか。自分たちに自明であることは、異なる社会で生きてきた人にとっては異質なことかもしれません。わたしたちが善だと思うことは、いつの時代や社会でも常に正しいこととは限りません。

 よくわかっている、当たり前すぎて疑わないこと、そうした事象にあえて疑問符をつけて問い直す、このことが文学部で学ぶことの出発点です。わかった気にならずに、あと一歩先に手を伸ばしてみる。きっと勉強がぐっと面白くなります。その醍醐味をぜひ味わってください。楽しいことは、時には苦しい。でも、苦しんだ先に新しい世界が広がっています。

 知的好奇心がスタート、そして4年間のゴールは卒業論文です。人間、文化、社会に関する多様な領域それぞれにおいて、基礎から専門的知識までしっかりと習得し、論理性、表現力を磨き、卒業論文としてまとめ上げる、その一連のプロセスを学生さんと私たち教員の顔の見える関係のなかで積み上げていきます。文学部では好きなこと、楽しいことを勉強していい、でも実は、好きなことを論文の形にして、人に伝えることはとても難しいことです。人にわかるように伝えることは、相手を理解し、自分自身がなぜそれをおもしろいと思ったのか、自らの思考をも再帰的に捉えることによってはじめて可能になるのです。

 私たちは、いろいろな情報があふれ、簡単に入手できる時代に生きています。そうした情報や知識の洪水のなかで、複数の異なる考えを受け取め、理解しようとする柔軟な思考を持ちつつ、自分の知りたいこと、やりたいことについてじっくりと調べて考えること、問題の根本を見抜く力を身につけること、文学部では、4年間でこうしたことに一緒に取り組んでいます。

 社会や文化を語るなかで、「多様性」がキーワードになって久しいのですが、この言葉の響きの良さとは対照的に、多様な社会を生きること、多様な文化的背景を持った他者を理解することは、現実にはとても難しい。そのためには、言葉を学ぶ、歴史や文化を知る、社会のしくみを調べる、人間の行動を観察するといった地道な勉強の積み重ねが欠かせません。一見遠回りに見えることが、「他者を理解する」ひいては「自分自身を、自分自身が生きている社会を理解する」という難問に立ち向かう力につながると信じています。

文学部長 米村千代

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