教員要覧

磯貝真澄

磯貝真澄  (イソガイマスミ)

略歴

1999年3月 神戸大学文学部史学科(東洋史学専攻)卒業
2001年3月 神戸大学大学院文学研究科史学専攻(東洋史学)修了
2001年4月 神戸大学大学院文化学研究科社会文化専攻(アジア社会文化史)入学
2003年9月 ロシア連邦国立カザン大学タタール歴史文献学部 留学
(平成15年度文部科学省アジア諸国等派遣留学生)
2010年3月 神戸大学大学院文化学研究科社会文化専攻(アジア社会文化史)修了
博士(学術)

研究内容

中央ユーラシアおよびロシアの近現代史を専門としています。とくに、19世紀~1930年代の、ロシアのヴォルガ中・下流域やウラル南麓のテュルク系ムスリム(とくにタタール人、バシキール人)を研究対象としています。現在の主要な課題は、ロシアにおけるウラマー(イスラーム法学者、知識層)とイスラーム家族法の実践をめぐる諸問題です。中央アジアやオスマン帝国・トルコの近現代史にも関心を持ち、ヴォルガ・ウラル地域と中央アジアやオスマン帝国の間でのムスリム文化の相互影響や展開の解明もめざしています。

授業内容

イスラーム史を主なテーマとする授業では、近世・近代のウラマー(イスラーム法学者、知識層)にかんする諸問題、とくに法や教育、言論活動を中心に考察します。ロシア・ソ連史をテーマとする場合は、近現代のウラマーとイスラーム信仰、イスラーム法、イスラーム教育などの諸問題に着目し、そこからロシア・ソ連について議論します。ソ連解体のような体制転換と歴史学研究をめぐる諸問題も考察の対象です。演習では英語などの外国語で書かれた研究文献を検討し、あるいはムスリム諸語で書かれた一次史料の読解をめざします。研究発表やレポート・論文作成の方法など、技術的訓練も行います。

主要な所属学会

日本中東学会、ロシア史研究会、日本中央アジア学会、東洋史研究会、西南アジア研究会、神戸大学史学研究会

主要な研究業績

著書(共編著)

  • 磯貝真澄・帯谷知可編『中央ユーラシアの女性・結婚・家庭:歴史から現在をみる』(アジア環太平洋研究叢書6)、国際書院、2023年。
  • 磯貝真澄・磯貝健一編『帝国ロシアとムスリムの法』、昭和堂、2022年。
  • FARKHSHATOV Marsil N. and ISOGAI Masumi (eds.), “My Autobiography” by Ḥasan ʿAṭāʾ Gabashī in 1928: ʿUlamāʾ and Soviet Power, Fuchu, Tokyo: Research Institute for Languages and Cultures of Asia and Africa, Tokyo University of Foreign Studies, 2020.
  • FARKHSHATOV Marsil N., ISOGAI Masumi, and BULGAKOV Ramil M. (eds.), “My Biography” of Riḍāʾ al-Dīn b. Fakhr al-Dīn (Ufa, 1323 A.H.) with an Introductory Essay and Indexes, Tokyo: NIHU Program Islamic Area Studies, The University of Tokyo, 2016.

著書(共著)

  • 「ソ連初期のムスリム知識人による自己語り:1928年のハサンアター・ガベシーの自伝的回想を読む」、野田仁編『近代中央ユーラシアにおける歴史叙述と過去の参照』(Studia Culturae Islamicae 119/ MEIS Series 29)、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、2023年。
  • 「19世紀から20世紀初頭のロシアにおけるムスリムの婚姻と法」(特論1-3)、長沢栄治監・森田豊子・小野仁美編『結婚と離婚』(イスラーム・ジェンダー・スタディーズ1)、明石書店、2019年。
  • 「ガスプリンスキー:ロシア的教養を身につけたムスリム知識人」、小松久男編『テュルクを知るための61章』、明石書店、2016年。
  • 「ロシア帝国ヴォルガ・ウラル地域ムスリム社会の「新方式」の教育課程」、秋葉淳・橋本伸也編『近代・イスラームの教育社会史:オスマン帝国からの展望』、昭和堂、2014年。
  • 「ヴォルガ・ウラル地域におけるムスリムの遺産分割:その制度と事例」、大江泰一郎・堀川徹・磯貝健一編『シャリーアとロシア帝国:近代中央ユーラシアの法と社会』、臨川書店、2014年。
  • 「ヴォルガ・ウラル地域のテュルク系ムスリム知識人と女性の啓蒙・教育」、橋本伸也編『ロシア帝国の民族知識人:大学・学知・ネットワーク』、昭和堂、2014年。
  • «ʻИльм-и ахлак» Ризаэддина б. Фахреддина (1858-1936) и история понятий «ахлак» и «адаб» // Волго-Уральский регион в имперском пространстве XVIII-XX вв. / Под ред. Наганава Н. Усмановой Д. М. и Хамамото М. М.: «Восточная лит-ра» РАН, 2011.

論文

  • 「ロシアのウラマーとイスラーム教育網に関する試論:19世紀前半まで」、『史林』101(1)、2018年。
  • 「19世紀後半ロシア帝国ヴォルガ・ウラル地域のムスリムの遺産分割争い:オレンブルグ・ムスリム宗務協議会による「裁判」とイスラーム法」、『東洋史研究』74(2)、2015年。
  • 「東洋学者とつながるムスリム知識人」、『歴史評論』783、2015年。
  • 「19世紀後半ロシア帝国ヴォルガ・ウラル地域のマドラサ教育」、『西南アジア研究』76、2012年。
  • 「ロシア帝政末期ムスリム知識人による女性をめぐる議論:雑誌『スユム・ビケ(Sūyum Bīka)』(カザン、1913~1918)を中心に」、『神戸大学史学年報』24、2009年。
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