千葉大学文学部からのお知らせ

文学部公開レクチャーの模様がタタール語メディアで紹介

2019/01/22 (火)

去る2019110日に行われた千葉大学文学部主催公開レクチャーの模様が、タタール語メディアで紹介されました。広く読まれる独立系メディア、Азатлык(アザトルック)社のサイトで翌11日に公開された記事です。


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講師の櫻間瑞希氏による日本語訳を以下に掲載します。


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日本の千葉大学でタタールに関する講義が開講

 講義は国際タタール語オリンピック優勝者の中村瑞希氏が担当した。教室には学生のみならず、タタールに関心をもった一般の人たちも合わせて70人近くが出席した。

 去る2019110日、千葉大学(千葉市)でタタール文化に関する授業が初めて行われた。講師はタタール語を深く極め、国際タタール語オリンピック2017年大会で優勝を果たした中村瑞希氏が担当した。60人から70人の参加があったと見積もられており、千葉大学の学生のみならずタタール文化に関心を持つ一般の人たちも出席したという。

 「タタール世界は日本ではまだ未知の領域にあり、タタールという単語すら多くの人は知りません。ですので、タタールの血が流れる私はタタール系日本人として普段からタタールを紹介すべくさまざまな取り組みを行っています。たとえばSNSでも積極的に日本語でタタール語やタタール文化を紹介しています」と中村氏は語る。

 講義は、まさにタタールという単語を知らない人々に向けたもので、タタール・ディアスポラ、タタール料理や舞踊、音楽のほか、カザンの街についてなど、幅広いテーマでタタールの紹介をするものであった。とりわけ、タタールの伝統的な旋律は日本人の琴線に触れるものだと氏は語る。「文字よりも、目や耳から入る情報を大切にしたいと思っていました。とくに音楽については世代を問わず興味を持ってもらえると思い、伝統的なものから、私が好きなフィルス・カヒロフやカザン・エゲットラレ、グゼリ・ウラゾワなどが歌う現代の歌、さらにはクラブ音楽まで紹介しました。授業後のコメントを読む限りでは、やはりタタールの「モン」は日本人にとって「演歌」を連想させるものだったようです。日本の音楽の一ジャンルに演歌というものがあって(※ここで八代亜紀の「もう一度逢いたい」のリンクが入る)、タタール人にとっても日本の演歌はどことなく懐かしいものに感じるのではと思います。」

 講義ではロシアの多民族性についても触れられた。日本ではフィギュアスケート選手のアリーナ・ザギトワは日本でも非常によく知られているが、彼女を民族的にロシア人だと思う人がほとんどである。「ザギトワ選手は現在日本で最も知られたロシアの女性ですが、彼女がタタール人だと知る人は多くはありません。講義を聞いた人にとっては、おそらくその日からザギトワが最も有名なタタール人として記憶に刻まれたことでしょう」と講師は語る。そのほか、講義ではタタール語の簡単なフレーズも教えたという。

 日本では、すでに本紙の読者の皆さんはご存知のとおりであるが、タタール文化や言語に深い理解を寄せる若者たちが奮闘している。2017年にタタールスタンとタタールに関する本が日本語で出版されたのは記憶に新しい。本書はアザトルック紙にもすでに知られた櫻間瑛氏、中村瑞希氏、菱山湧人氏の共著である。

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